「友達：カンナ＆椿」

「カンナさん、ポスター貼るの、手伝ってくれませんか？」
「ああ、いいぜ。どれを貼ればいいんだ？」
「これと、これと。あと、これと。お願いします」
「ふーん。グッズ、新しくなるんだ…へぇ。…この辺でいいか？」
「はい、いいと思います。じゃあ、次はこっちです」
「よっしゃ。……なんだ、すみれのポスターじゃねえか…」
「も、文句言わないでくださいよぅ」
「はいはい。すみれのは適当でいいよな」
「駄目です！」
「あははっ、冗談だよ。これでいいかな」
「はい、ありがとうございます。じゃあ、カンナさん、次はこれ、お願いしますね」
「おう。この辺でいいかな」
「もうちょっと下の方がいいと思います……そう、その辺」
「ん。……よっ、と。どうだ、椿」
「ありがとうございます！　本当にカンナさんがいると助かります。あたしじゃあ、背が届かなくて」
「あー、いいってことよ。この程度、どうってことないぜ。また何かあったら呼びな」
「カンナさん、カンナさん」
「…ん？」
「あの、売店の片付けも…手伝ってくれませんか？」
「ああ、いいぜ。何すりゃいいんだ？」
「あのですね、この辺の品物は入れ替えなので、処分しなきゃいけないんですけど」
「……あ、あたいのやつばっかじゃねえか……」
「そ、そんなことないですよ！　気のせいです！」
「気のせい、かなあ……？」
「気のせいです！　か、カンナさんのやつは、好評なんですよ！　凄く！」
「そう…かぁ…？」
「そうなんです！　大神さんなんか、ブロマイドは同じ人の買っちゃ駄目って言ってるのにいつも嘘ついて買っていこうとするんですから！」
「……………………い、意味がわかんねぇ…」
「う。と、とにかく、あの、処分を…」
「ああ、そうだな。何だ、ゴミ捨て場に捨ててきたらいいのか？」
「はい、お願いします」
「よっしゃ、行ってくるぜ！　…っと、結構重いな」
「お願いしまーす」


　　　＊


「ただいまー。捨ててきたぜ」
「ありがとうございます、助かります」
「じゃ、また何か必要だったら…」
「あのぅ、カンナさん、もうひとつお願いがあるんですけど」
「…ああ、何だ？」
「あたし、これから売り上げ計算をしなくちゃいけないんですけど…そのぅ、時間かかりそうなんですよ」
「だから？」
「落ち着いて計算できたら嬉しいなぁって」
「…だから？」
「お茶…とか、あると、仕事もはかどるだろうなあって」
「……つまり、あたいに茶を淹れろってことか」
「えへへ」
「まあ、いっか…日本茶でいいか？」
「はい、顎が痺れるくらい渋いやつがいいです。お茶菓子はお煎餅がいいなあ」
「茶菓子まで指定すんのかよ…」
「お願いしまーす」


　　　＊


「ほら、顎が痺れるくらい渋ーいお茶、淹れてきたぜ」
「きゃあ、ありがとうございます、カンナさん」
「ん。別にいいけどさ。じゃあ、また何かあったら……」
「カンナさぁん」
「……もう呼ぶな」
「そんなぁあ。あたし、ひとりで売り上げ計算するの、大変なのにぃ」
「……だからって、あたいじゃ手伝えないし……」
「ですからぁ、事務局に行って、大神さん、呼んできてくれませんか？」
「た、隊長？　…………わかったよ…行ってくる」
「お願いしまーす」
「…………何か、あたい、使われてるような気が……」
「ほらほら、大神さんが待ってますよ！」
「う。……う？　待って…る、のか…？」
「いってらっしゃーい」
「……？？？」

「友達：いやがらないふたり」　終了

騙されカンナさん。
皆で一緒に煎餅を食ったらいいと思う。